2013年3月18日月曜日

柏木麻希『舟を編む』

「舟を編む」

辞書を作ることを、舟を編むというそうです。
舟は、辞書。
編むとは、編集すること。
辞書は言葉を乗せる舟なんですね。

この辞書作りの裏側を舞台に、
言葉が人と人とを強く結びつけてくれることを教えてくれた
映画「舟を編む」を観てきました。













この世の中には、
言葉が溢れています。
松田龍平さんが演じる主人公は、辞書作りに情熱を注ぎ、その溢れる言葉の海で溺れるほど言葉を感じています。
でも、相手のことはわからないからと、言葉を胸に秘めて、周りの人へ想いを伝えることをしないんです。
私も、どんな言葉で気持ちを伝えたらいいのかわからなくて、相手との距離を縮める一歩がなかなか踏み出せないってことがあります。
わからないからって関わるのを止めてしまったら、結局相手とつながれるチャンスも逃してしまうと、わかってはいるんですけどね・・・。
主人公は、私よりう~んとたくさんの言葉を知っているから、気持ちもうまく伝えられるんじゃないかと思うんですが、言葉は秘めてるだけでは伝わらないんですよね。
そんな彼は、あるきっかけがあって、少しずつ気持ちを言葉に乗せて、周りの人へ伝えていくようになっていきます。
そのきっかけというのは・・・恋です♥
なんとしても、彼女とつながりたい!という思いから、彼は、心の引き出しから言葉を出してきます。
その一言一言が、本当にあったかいんです。
なかでも、主人公が恋した相手、宮崎あおいさん演じる女性に告白するシーンでのシンプルな言葉に、すっごく誠実で大きな愛を感じました。
このシーンで、宮崎あおいさんの笑顔が少しずつほころんでいくんですが、これが幸せをいっぱい感じられて、こっちまで笑顔になっちゃいました!


大切な人へ自分の想いをまっすぐ伝えるには、
余分な言葉はいらないんですね。


言葉は、人と人との間で動かすことで価値が生まれて、
人と人がつながって、固い固い絆が生まれるんだなと感じました。


このふたりを観ていて、
大切な人にこそ、ちゃんと言葉で想いを伝えていきたいと思いました。
『長い間連れ添っていて、今更「ありがとう」とか、「これからもよろしく」なんて、
言わなくてもわかるだろう!』
結婚記念日を何度も迎えた夫婦の間でよく聞く話ですが、
やっぱり、言葉にしないと、
気持ちは伝わらないですからね。
言葉で心は、あったかぁくなるんです。
見終わった後に、こんなに心がホッコリした映画は久しぶりでした。

でも、言葉で誤解されることもありますよね・・・。
言葉って難しいなぁ・・・
難しいけれど、この映画の中に登場する人たちのように、
言葉を大切に感じていきたい。
そして、その言葉に気持ちを乗せて伝えていけるようになりたい。
そう思いました。

原作は、直木賞作家の三浦しをんさんの同名小説です。
去年の本屋大賞にも選ばれたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
松田龍平さんと宮崎あおいさん主演の映画、「舟を編む」は、
4月13日から、全国で公開です。